研究概要 |
α-Tocopherol (α-Toc), β-carotene (β-car)などは生体における主要な抗酸化剤として注目されている。抗酸化剤の生体外での作用を明らかにするため、各種抗酸化剤をメチルメタクリレート(MMA)に添加して、示差走査熱量計中70℃で加熱重合し、重合率一時間曲線から誘導期間、初期重合速度を測定し、重合挙動を解析した。α-Tocは濃度の増加に従って、誘導期間が顕著に増加し、また初期重合速度も大きく減少した。重合禁止剤として知られるフェノール性OH基をもつブチルヒドロキシトルインはα-Tocと同様な重合挙動を示したが作用は前者より大きかった。一方β-carは濃度が増すと重合反応は明らかに抑制された。そして明らかな誘導期間の減少はみられず、初期重合速度のみ、濃度の増加に伴って著しく減少した。レチノールもこれと同じ挙動を示したがβ-carより作用は小さかった。β-carはα-Tocより重合抑制効果が大きかった。フェノール性OH基をもつ連鎖切断型ラジカル捕捉剤(α-Toc)と共役二重結合によるラジカル捕捉剤(β-car)とでBPO-MMA重合に大きな差があることが明らかになった。抗酸化剤の作用をリノール酸メチルの酸化作用で調べる方法があるが、本方法は簡便で正確にラジカル捕捉効果を検討出来ることが分かった。
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