研究概要 |
歯科用ラジカル重合開始剤として、過酸化ベンゾイル、光重合開始剤など種々用いられている。ラジカルはメタクリレートを重合させるが、反面脂質過酸化作用により、生体膜を障害させる。抗酸化剤はこれらを保護する作用がある。光増感剤(カンファキノン、CQ;9-フルオレノン、9F)を還元剤ジメチルアミノエチルメタクリレート存在下可視光線照射し発生するフリーラジカルがヒト類表皮癌細胞にどのような影響を与えるか検討した。CQや9Fは細胞表面で活性酸素を発生させた。 これは蛍光色素、5-(and6)-carboxyl-2′,7′-dichlorofluorecin diacetateを細胞表面に取り込ませておき,活性酸素による発光をACAS 570 laser cytometerで検出した。位相差顕微鏡の観察で活性酸素により障害を受けた細胞はバレーン(球形流出物)や壊死に至った細胞がみられた。9FはCQより障害性が大きかった。抗酸化剤(ラジカル捕捉剤)として、ビタミンE,ビタミンC,ハイドロキノンなどを細胞に取り込ませておき、CQや9Fに光照射しラジカルによる障害を検討した。これら抗酸化剤は著しく細胞障害性をブロックした。9Fの活性酸素発生能力はCQより大きかった。
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