研究課題/領域番号 |
07672115
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
今 政幸 徳島大学, 歯学部, 助手 (80116813)
|
研究分担者 |
石川 邦夫 徳島大学, 歯学部, 助手 (90202952)
宮本 洋二 徳島大学, 歯学部, 講師 (20200214)
浅岡 憲三 徳島大学, 歯学部, 教授 (50014189)
|
キーワード | バイオセラミックス / 傾斜機能材料 / リン酸カルシウム / 酸処理 / 骨補填材 / ハイドロキシアパタイト / リン酸三カルシウム |
研究概要 |
本研究では顎骨および骨補填材料としての傾斜機能バイオセラミックスを、ハイドロキシアパタイト(以下、HAP)焼結体から酸処理による手法により試作することを目的とした。ここで傾斜機能バイオセラミックスとは表面が溶解性の高いαリン酸三カルシウム(αTCP)で、内部深くなるにつれてαTCPは減少してゆき、内部はHAP単独相となる材料のことである。平成7年度はこの傾斜機能リン酸カルシウムセラミックス試作について酸処理材およびHAP焼結体の気孔率の点からの検討と、皮下組織を中心とした生体内反応を調べた。その結果、HAP焼結体をリン酸、塩酸および酢酸などの酸処理材を用いて浸漬処理した後に再加熱処理を行った場合、表面がαTCPに変化する現象にはリン酸水溶液が最も効果的であることがわかった。この結果はリン酸の残存の影響とも考えられるが、塩酸および酢酸でも表面がαTCPに変化したことから、酸によるカルシウム欠損状態によるものと予想された。但し、塩酸では浸漬による焼結体の浸食が激しく、また酢酸ではαTCPへの転換量が少ないことがわかった。表面のαTCPから内部のHAPまでの組成の傾斜はX線回折、XMAにより認められたが、酸処理材のpHおよびHAP焼結体の気孔率がかなりの影響を及ぼすことがわかった。生体内反応について、皮下組織に埋入した試験片の重量変化を調べた結果は約2週までは重量減少し、2週以降8週までは重量増加が確認された。また、組織親和性はHAP単独のセラミックスと同様の良好な結果が得られた。以上の結果より、平成7年度の研究実施計画は概ね達成され、骨補填材として多孔体等への応用が可能であることが認めら得た。平成7年度の研究結果の詳細については現在、学術誌に公表準備中である。
|