研究概要 |
チタン鋳造における、リテンションビーズの再現性を評価した結果、遠心鋳造法を用いた場合、リテンションビーズ部の再現性は良好であったが、鋳造体表層のSEM観察からリテンションビーズ部において鋳型材の残留が認められ、サンドブラスト処理を施しても完全な除去は困難であった。このため、レジン前装チタンクラウンには、鋳造体表層のチタン酸化物や鋳型材を除去が容易なノンリテンションビーズ法が適していると考えられた。 ノンリテンションビーズ法を想定した。チタンに対するサンドブラスト処理の影響について、3種類の粒径のアルミナ粉末を用いたサンドブラスト処理を行い、コバルトクロム合金と比較した。EDX分析の結果、サンドブラスト処理を施したチタン上では33〜45wt%、コバルトクロム合金上で22〜42wt%のアルミナが検出された。チタンに対するサンドブラスト処理は、他の非貴金属合金に対するよりも低圧力、短時間の処理を行うほうが好ましかったが、サンドブラスト処理によるアルミナ汚染の影響は避けられないことが認められた。 サンドブラスト処理(50μm,110μm,250μmアルミナ)を施したチタン表面、またチタンとアルミナ焼結体に対する各硬質レジン接着システムの接着強さを測定し、チタン・サンドブラスト処理面の接着性について評価を行った。250μmアルミナ粉末を用いたサンドブラスト処理面では、最高の接着強さを示したが、110μmアルミナを用いた場合の接着強さとの有意差は認められなかった。また、50μmアルミナによるサンドブラスト処理は硬質レジンの接着性向上に及ぼす影響は小さかった。アルミナ焼結体に対する接着性は、チタンに対して良好な接着性を示した接着システムでは有意に小さい接着強さを示しため、サンドブラスト処理によるチタン表面へのアルミナの残留は、硬質レジンの接着性向上への関与は小さいことが認められた。
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