研究概要 |
歯科鋳造で鋳造用リングライナーとして従来使用されていたアスベストリボンは,その粉塵による塵肺や発癌性などの為害性が指摘され姿を消した.その代替品として,ノンアスベストタイプのライナーが多数開発・販売され使用されている.本研究は,まず,ノンアスベストリングライナーの組成分析を行って細分類し,分類別の特性を明らかにするとともに,分類報の使用方法を明らかにしようとするものである.当初の研究計画では,(1)ライナーの組成分析,(2)吸水時のライナーの厚さおよび重量増加,(3)加熱時のライナーの厚さ,重量減少および緩衝性,(4)テクスチュアの検討,(5)ライナーの使用方法と鋳造体の適合性の検討を挙げたが,(1)は平成6年度中に繰り上げて終了し,その成果を誌上発表(歯科材料・器械14巻2号)した.(2)および(4)に関しては本実績報告書作成時までに検討を終了し,歯科材料器械14巻5号に誌上発表した.現在,(5)に関し,格子状ワックスパターンを用いて,リング内での鋳型の変形挙動,およびリング内でのライナーの吸水挙動について鋭意検討中であり,リング内でのライナーの吸水挙動については本年4月に開催される日本歯科理工学会でその検討の成果を口頭発表の予定である.その要旨は,鋳造用リングにライナーを裏装し,埋没材を注入した場合のリング内でのライナーの吸水挙動を埋没材の操作時間から検討したもので,1)埋没材の注入量から,ロックウ-ル系ライナー(3種),セラミックファイバー標準用の1種(リボンウ-ル)およびアスベストリボン(3種)の吸水量が大きいこと.2)操作時間から求めた実効混水比が,理論実効混水比(ライナー単体の吸水量から換算した)と比較的良く一致するライナー群と一致しないライナー群の2群に大別されることを明らかとした.
|