研究概要 |
ノンアスベストタイプの鋳造用リングライナーを分類して特性を明らかとし,これらの特性から使用方法を確立するための一環として,基礎的資料の収集を企図した.まず、15種のセラミック系ライナーを組成分析して5群(A群:ロックウ-ル系,B群:セラミックファイバー低温系,C群:セラミックファイバー標準系,D群:セラミックファイバー低温〜標準系およびE群:カオリン系)に分類し,ライナーのテクスチュア,空隙率および吸水性について検討した.その結果,ライナーの主繊維はA-D群では丸棒状であり,E群では不定形であった.また,ライナーは,アスベストリボンと比較して,A群は空隙率が比較的高く吸水量は大きく,B-D群は空隙率が高く吸水量は小さく,E群は空隙率が低く吸水量が小さかった.さらに,D群のNA14(リボンウ-ル)は空隙率が高くかつ特異に吸水量の大きいものであった.次に、埋没材スラリーを減圧下で注入した鋳造用リング内でのライナーの吸水挙動について,埋没材スラリー注入量および埋没材の操作時間を測定して検討した.その結果,ライナー15種およびアスベストリボン3種のδV(ライナーが吸水しないと仮定した場合より増加した埋没材スラリー体積)は,0.96〜2.85cmであり,それぞれのライナーの空隙量の77〜106%であった.したがって,減圧下でスラリーを鋳造用リングに注入した場合,スラリーからライナーに移行する水分量は,ライナーの空隙量でおおよそ表現可能であった.操作時間は,A,B,C,DおよびE群でそれぞれ順に,703〜964,746〜919,831〜879,653〜835および794秒を示し,アスベストリボンでは789〜854秒を示した.一方,ライナー内張りなしでは836秒を示した.したがって,多種類のライナーの吸水挙動を検討する場合には,操作時間をもとにして求めた実効混水比で検討する方法は不適当と判断された.
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