研究概要 |
ハイブリッド型フィラーの粒子の形状や平均粒径の構成を変化させて機械的性質の検討を行った。まず,無定形フィラー4種類(平均粒径1.7,5.4,10.0,21.5μm),球形フィラー5種類(平均粒径0.46,1.38,5.9,10.5,31.2μm)を用いて,2成分系のハイブリッド型フィラーを作製した。配合方法は,互いに形状の異なるものを50%づつ混合したもの,および形状が同じもの同士を混合したものとした。また,ミクロフィラーを添加した場合の粒径および形状の影響をみるため,上記9種類にミクロフィラー(平均粒径0.04μm)を30%添加したものを作製した。それぞれのフィラーのシラン処理剤による被覆度が50molecules/nm^2となるように比表面積から算出した量のγ-MPTSで処理し,90℃で2時間熱処理したフィラーを用い,光重合型コンボジットレジンを作製し,圧縮強さおよび関接引張強さを調べた。それぞれ繰り返し3回の実験を行った結果,以下の知見を得た。 1.無定形と球形を混合した場合には,組み合わせる粒径が小さいほど強度は大きくなり,両者ともに最小の粒径の組み合わせで最大となった。 2.形状が同じもの同士の混合では,粒径が小さい組み合わせほど強度が大きく,それぞれの粒径のフィラーを単独で用いるより,異なる粒径のものを混合したほうが強度が大きくなった。 3.ミクロフィラー添加では,粒径が小さいほど強度は大きくなり,無定形より球形に添加したほうが強くなった。 今後の課題として,強度的に優れたハイブリッド型フィラーについて,表面処理方法を変化させた時の機械的性質の影響(長期水中浸漬,超加速劣化試験を含める)を調べる必要があると思われる。
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