本研究は現在、残念ながら当初予定より遅れている。予定通りに行かない最大の原因は、Windowsでのプログラム開発が極めて困難だった為である。既存のMS-DOSでのプログラムはC言語を使用して開発していたが、今回の研究で使用するWindowsNTシステムでは、このプログラムを一部修正程度では実行することが出来ず、これまでの研究成果にたって作成していくという訳にはいかなくなった為、VisualC++を用いて、もう一度新たにこのようなプログラムを開発せざるを得ない状況となった。そこで、旧来のMS-DOSシステムを平行して動かし、2つのシステムを比較しながら、測定とプログラム開発を同時に行なった。 現在、各技工士に依頼したワックスパターンの形状データーを鋭意解析中であり、そのなかで幾つかの成果が挙がっている。 まず、旧来歯牙の形状測定には1歯牙当たり、なんと10時間を要し、実用は困難であったが、A/Dコンバーターボード(ADM-5698BPC)を使用、専用プログラムを開発し、測定精度を5μmとしたことにより、この測定を約50分に短縮することができた。この為、臨床でも使える現実的な測定が可能となった。測定精度を0.5μmから5μmに変更した理由は、各技工士作製のワックスパターンが250〜500μm以上の誤差を含んでいることが判明した為で、今後この精度が補綴物作製の研究における一つの目安になるものと思われる。
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