研究課題/領域番号 |
07672136
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
亀水 秀男 朝日大学, 歯学部, 助手 (00152877)
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研究分担者 |
後藤 隆泰 朝日大学, 歯学部, 講師 (30121320)
土井 豊 朝日大学, 歯学部, 助教授 (40116067)
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キーワード | 鋳造用埋没材 / 耐火材 / リン酸アルミニウム / ベルリナイト / 水熱合成 |
研究概要 |
シリカに代わる新しい歯科鋳造用埋没材の耐火材として、優れて熱膨張特性を有するリン酸アルミニウム、特にベルリナイト(石英タイプ)の利用可能性について検討してきた。この研究では、良質なベルリナイト結晶を合成育成するために水熱法について検討した。また、得られたベルリナイト結晶粉末の熱的特性についても検討した。 加熱合成したベルリナイト種結晶を各種濃度(5〜40%)のリン酸水溶液に各温度(200°以上)、時間(1〜7日)で水熱処理した。ただし、リン酸アルミでは溶解度の温度勾配が負であるためこれを考慮に入れて水熱処理した。得られたベルリナイトの形態観察、X線解析を行った。粉末X線回折の結果より使用したリン酸アルミはベルリナイト型で、わずかなクリストバライト型、トリジマイト型が含まれていたが、得られた水熱合成物はベルリナイト単一相であった。また、走査電顕観察より水熱処理して得られたベルリナイト粒子は出発粒子に比べて、粒状に大きく成長し、結晶性も向上していた。すなわち、合成時間とともに結晶粒子は大きくなり、特に加熱温度、溶媒濃度によって結晶性は影響を受けた。熱分析の結果、α-β転移温度は変化はなかったが、再組織型転移温度は結晶性の向上によって50〜100°C高くなっていた。また、埋没材とした場合の加熱膨張はα-β転移による膨張とリン酸アルミ特有の再組織型転移による膨張がみられ、種結晶よりも高い線膨張率(5〜8%)を示した。今回、水熱処理によってベルリナイト単一相が得られたこと、ならびに膨張性や結晶性の向上が見られたことで、水熱法による耐熱性と膨張性の優れた耐火材用ベルリナイトの改良と調整が可能であることがわかった。
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