変性でんぷん(デキストリン)とゼラチンを主としてキャリアーに使用した。いずれのキャリアーもBMPの新生骨形成能を増加させ、安定した骨形成量を得ることができた。また、高分子のデキストリンと小量(1^〜2mg)のBMPを複合化し米粒大の移植体を移植した場合には、移植体の形状とほぼ同形状の新生骨を誘導することができた。このように、小規模の骨欠損部の補填に関しては芯材を使用しない場合でも十分に新生骨の形成量と形態を制御することが可能となったが、米粒大以上の大きさの場合には芯材が必要となり、リン酸カルシウム系材料ならびに金属材料を使用して複合実験を行なった。金属材料では純チタンと純タンタルを芯材として使用し、純チタンに関してはスポンジチタンを選択し、純タンタルにはメッシュ状の形状を選択した。両者共に予定した形状に新生骨を誘導することが可能であったが、新生骨量はやや低下することが判明した。リン酸カルシウム系材料は誘導骨量、形態制御が共に可能であり、有効な芯材と判定された。しかしながら、加工性、強度の点から金属材料の芯材を開発することは不可欠であり、今後金属表面処理などの応用してBMPとの複合化を行なう必要があると考えられる。また、今回は天然抽出の粗精製BMPの精製度をあげた水溶性BMPを使用して複合実験を行なったが、今後recombinant BMPなどさらに高純度のBMPを用いて複合実験を行なう必要性があると考えられる。既にBMP-2の遺伝子挿入がされた蛋白質発現系のバキュロウイルスの供与を受けており、Sf-9など昆虫細胞を使用して人工合成BMPを生産する予定である。今後、高活性、高純度のBMPを使用するにあたり、本研究結果は基礎データとしてきわめて有用であると考えられる。
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