研究概要 |
マウス結合組織由来のL-929細胞を用いて,アルミナ,ジルコニア,窒化ケイ素,窒化チタン,炭化チタン,ヒドロキシアパタイトおよび陶材の各焼結体における細胞接着性を評価した.まず最初に,培養用プラスチックシャーレに対する初期相対細胞接着率から評価した.なお,対照として硬質ガラスおよびテフロンについても実験を行った.材料表面に付着した細胞数の算定は,材料表面から細胞を剥離後,核数計算法により測定する方法と画像解析法による材料表面の細胞数を測定する方法を用いた.画像解析法としては,培養30分後PBSで洗浄後,3%ホルムアルデヒドで固定し,May-Grunwald Giemsaで染色後,金属顕微鏡で観察し画像解析ソフトNIHImageを用いて材料上の細胞数を測定した.その結果,培養30分後において,対照として用いたテフロンを除いて相対細胞接着率は80%以上を示し、今回実験に用いたセラミックスが良好な細胞接着性を示すことが明らかとなった.また,核数計算法と画像解析法との間に良好な相関性が得られ,本実験で用いた画像解析法が不透明な材料上における細胞数の定量法として有効であることが明らかとなった.次に,チタンとチタン表面に酸化膜を形成した材料を用いて,ずり応力負荷による細胞の剥離割合をみると,定ずり応力の負荷時間が長くなるほど材料表面上の細胞数は減少したが,両材料間で優位な差は認められなかった.一方,セラミックスのような非伝導性試料を用いた場合,試料と円錐板との間隙を正確にセットすることが困難であり,データのばらつきが大きかった.この点については,今後の装置の改良が必要であった.
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