本年度は、平成8年度にひき続き簡便な測定方法、精密な加工条件および輪郭抽出アルゴリズムなどの改良を行い、より完成度の高い研究をめざすとともに、これらの研究成果を学会で発表した。また、研究期間が終了したので、3年間の成果をとりまとめて研究成果報告書を作成した。実施して得られた研究成果を以下に示す。 1.被験者の顎運動測定は、徳島大学歯学部歯科補綴学第二講座(坂東研究室)の協力を得て実施できた。測定した顎運動は、切歯点の各種限界運動と各方向への自由なあごふり運動を共通な被験運動とし、その他の顎運動は被験者の状況により実施した。 2.測定データの解析は、下顎上の任意点における各種限界運動顎位と各方向への自由なあごふり運動の顎位を比較して、各解析点の全運動空間形状を推定した。 3.光造形装置の最適な製作条作を設定するにあたっては、形状により生じる加工歪を考慮した製作方法をとらなければならないことがこれまでの研究でわかったので、3次元CADソフトウェアを利用して形状を分割し、極力加工歪の少ない設計を行った。 4.運動空間形状の輪郭抽出は、独自に考案したアルゴリズムと3次元CADソフトウェアを組み合わせて、運動空間が持つ特徴を極力損なわない方法で行った。 5.実体モデルは、下顎上の任意点における全運動空間形状、任意顎位における顎関節の形態および下顎骨などを製作した。この実体モデルから顎口腔系の形態と機能との関係を追究した。 以上、本年度の目標はほぼ達成でき、得られた成果は日本顎口腔機能学会、電子情報通信学会等で発表した。
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