1.筋肉中に遊離骨膜を移植し、骨膜移植部におけるBMP-2の局在を免疫組織化学染色を用いて検討し下記の結果を得た。 (1)移植後5日目には骨の形成を認め、新生骨周囲の未分化間葉系細胞、骨芽細胞、骨細胞にBMP-2の局在を認めたが、筋肉および筋肉周囲の未分化間葉系細胞にはBMP-2の局在を認めなかった。 (2)骨基質、軟骨基質にはBMP-2抗体による特異的な染色像は認められなかった。 (3)移植後14日目には破骨細胞が出現し、大部分の破骨細胞の細胞質にBMP-2抗体による特異的な染色像が認められた。 2.骨膜を封入したmillipore diffusion chamberを腹腔内に移植し、下記の結果を得た。 (1)移植後28日目にはmillipore diffusionchamber内では軟骨およびosteochondroidの形成が認められたが、全期間を通じてmillipore diffusion chamber外則には軟骨あるいは骨の形成は認められなかった。 3.筋肉中に遊離骨膜移植したときに形成される骨が骨膜細胞自身に由来するのか否かをautoradiographyを用いて検討し下記の結果を得た。 (1)骨膜へのtritiated thymidine(^3HTdr)の取り込み率は5.2%であった。 (2)新しく形成された骨組織の骨細胞の一部に^3HTdrの取り込みを認めた。また新生骨周囲の間葉系細胞の一部に^3HTdrの取り込みを認めた。 以上の結果から、第一に遊離骨膜移植時に骨膜細胞がBMP-2を産生していること、第二に骨膜には骨誘導能がないかあっても極めて弱いことが確認された。したがって筋肉中に遊離骨膜を移植したときに形成される骨は骨膜細胞自身の増殖、分化によって形成される可能性が示唆された。
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