両側頸部迷走神経および交感神経を切断した25匹のネコを用いて片側の舌神経切断部中枢側および顔面神経根末梢側(頭蓋内)の電気刺激を行い、その時の血流変化を同側の下唇、口蓋、脳皮質、総頸動脈ではレーザードップラー血流計で、総頸動脈では電磁血流計で測定した。全身麻酔はα-クロラロース・ウレタンで行い、経気管切開口孔挿管し筋弛緩にパンクロニウムを用いて空気50%酸素50%で調節呼吸を行った。実験結果は下唇、口蓋、総頸動脈の血管運動反応はよく似ており、舌および顔面神経刺激によって血流の増加がみられた。しかし前脳皮質では舌神経刺激で血流の増加がみられないにもかかわらず顔面神経刺激でわずかながら増加がみられた。このことは前脳皮質には体性副交感神経反射性血管拡張のメカニズムは存在しないことを暗示している。そしてまた総頸動脈の血流の変化は脳皮質の血流の変化に対応していないことから総頸動脈血流の変化は脳皮質の血流の変化の指標にはならない考えられた。
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