集中的に口腔感染症患者から採取した材料からの菌分離を行なった。 現在まで当大学付属病院歯科口腔外科外来、および入院患者83名の口腔内閉塞腫瘍から菌分離・同定を行った。対象患者は、根尖性歯周炎、辺縁性歯周炎、歯冠周囲炎等である。また、使用培地は、変法GAM寒天培地、ブルセラHK血液寒天培地を好気、嫌気培養に、嫌気性グラム陰性桿菌に対しては、選択培地としてPV加ブルセラHK血液寒天培地を用いた。 この結果、好気性菌115株、嫌気性菌214株、計329株が分離された。 好気性菌の主な分離菌種は、グラム陽性球菌であるStreptococcus constellatus、S.mitis、S.intermedius、S.oralisなどであった。嫌気性菌ではグラム陽性球菌であるPeptostreptococcus micros、Gemella morbillorum、グラム陰性桿菌であるFusobacterium nucleatum、Prevotella intermedia、Porphyromonas gingivalisなどであり、菌株数でみるとグラム陰性桿菌の方が明らかに多かった。また、分離菌種の分析より臨床的に重症感染症と診断した患者からは、好気性グラム陽性球菌と嫌気性グラム陰性桿菌が複数菌混合感染の形態で検出されてくる割合が究めて高いことが示唆された。 今後さらに対象症例からの菌分離を行い、口腔領域感染症における起炎菌を検索していく予定である。 平成7年度は口腔領域感染症に関与している主要菌種を調べることが目的であった。本研究に対して同意、協力が得られた約100名以上の口腔感染症患者から得られた材料からの菌検出を目標としていることから、ほぼ順調に研究が進行している。
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