研究課題/領域番号 |
07672165
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
式守 道夫 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (70154193)
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研究分担者 |
橋本 賢二 浜松医科大学, 医学部, 教授 (60094166)
上田 吉生 浜松医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (10232761)
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キーワード | 口腔癌 / 動注化学療法 / 組織移行性 / THP-ADM / CDDP / VX2腫瘍 |
研究概要 |
従来各種抗腫瘍剤の併用効果は薬剤相互の影響がない前提で薬剤の投与順効果として説明されてきたが、薬剤併用時の組織移行性については検討されていない。今回は、THP-ADMの先行投与がCDDPなどの後続薬剤の組織移行性へ影響しているか否かに関して検討した。 平成7年度に、日本白色家兎の足背にVX2腫瘍を移植し、大腿動脈よりTHP-ADMを動注し、投与後30分、24時間および48時間目にCDDPを投与する3群で比較検討した。CDDP投与後30分後に組織を採取し薬剤濃度を測定した。まず、腫瘍、リンパ節、筋肉、腎、肝、心、脳、肺、舌、骨、血漿でCDDPの組織内濃度を比較検討したところ、血漿、筋肉、腎、肝、心、脳、肺、骨および舌に関しては有意差がなかった。そこで、血漿中濃度、腫瘍内濃度およびリンパ節内濃度について検討することとした。 CDDP単独投与群(n=3)でのCDDP濃度は、腫瘍内では2.46±1.07μg/g、リンパ節では0.99±0.74μg/g、血漿中濃度では1.87±0.16μg/mlであった。0.5時間群(n=4)でのCDDP濃度は、腫瘍内では0.82±0.04μg/g、リンパ節では1.34±0.18μg/g、血漿中濃度は1.35±0.02μg/mlであった。24時間群(n=7)でのCDDP濃度は、腫瘍内では1.53±3.88μg/g、リンパ節では3.39±3.96μg/g、血漿中濃度は1.79±0.26μg/mlであった。48時間群(n=3)でのCDDP濃度は、腫瘍内では1.16±1.45μg/g、リンパ節では2.35±0.836μg/g、血漿中濃度は1.90±0.32μg/mlであった。 以上の結果から、血漿および腫瘍内濃度は各群間に差はなかった。リンパ節内濃度では、24時間群はCDDP単独投与群と0.5時間群より有意(p<0.05)に高値で、0.5時間群はCDDP単独投与群と有意差はないが平均値は1/2以下に低下していた。これらの結果から、THP-ADMの先行投与が後続薬剤CDDPの組織移行性に影響を与えていることが示唆された。
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