研究概要 |
パラフィン包理材料が保存されている口腔扁平上皮癌症例を対象に、Goelzらの方法(1985)によりDNAを抽出し各種癌遺伝子の増幅を調べることを目的とし,まずDNA抽出・検出へのホルマリン固定の影響を,当科保有の培養癌細胞を用いて検討中である。使用した培養細胞は当科で樹立した口腔扁平上皮癌由来の癌細胞株(MOK-101,未クローニング,110-115代)である。DNA抽出にはDNA抽出キット(和光純薬)を用い,抽出されたDNAを10%緩衝ホルマリンにて処理し,EcoRIで分解後,寒天電気泳動を行い,エチレンブロマイド染色にて紫外線照射下に泳動状態を観察したところ,10%緩衝ホルマリン処理では,抽出されるDNAの低分子化は無視でき,良好な結果であった。引き続き,同ホルマリンにて固定した組織標本からのDNA抽出状態について検討し,各種癌遺伝子プローブを用いて,サザンブロッチングを行う予定である。
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