口腔扁平上皮癌における癌関連遺伝子増幅の予後因子としての意義を検討することを目的として、ホルマリン固定パラフィン包埋材料から抽出された癌関連遺伝子の増幅と転帰の相関性を検策中である。まず培養口腔扁平上皮癌細胞株(MOK101、MOK201)のpelletおよび同細胞株のヌードマウス移植腫瘍のホルマリン固定パラフィン包埋材料から、DNA抽出キット(和光純薬)を用いて染色体DNAの抽出、精製を行い、0.3%アガロースゲルにて電気泳動後、DNAの変性の有無を検討したところ、室温ホルマリン固定ではDNA低分子化が生じ、またSouthern blot法による解析の際に非特異反応によるbackgroundが大きく、解析が不可能となるケースが多かった。Southern blot法では材料の新鮮度が重要であった。さらに口腔扁平上皮癌手術材料のホルマリン固定パラフィン包埋組織から抽出されたDNAを用いて同様の検討を行ったところ、古い材料ほどbackgroundが大きく、症例間のバラツキがあり解析が困難であった。そこでdot blot法により解析をすすめているが、シグナルが弱いため増幅コピー数の定量が十分にできていない。サンプル量の増加、DNAプローブの交換を行い検索を進めている。
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