口蓋裂患者の口蓋表面知覚異常は正常人とは異なっていることが考えられる。またその感覚が構音運動および正常言語獲得に何らかの影響をおよぼす、もしくはおよぼしていたことが考えられる。そこで術後口蓋裂患者の口蓋表面知覚、とくに触覚と振動覚を客観的に測定し、正常人と比較するとともに、異常感覚の測定値と鼻咽喉閉鎖機能測定値がどのような重みで聴覚的音声言語と関連されるのかを多変量解析システムを用いて検索することが本研究の目的である。 測定に際し、触覚の測定はリサーチ デザイン社製Aesthesio meterを用い、振動覚はテクノローブ社製振動覚計を使用した。表面知覚の測定部位は、1.軟口蓋正中部、2.硬軟口蓋移行部、3.患側小臼歯部、4.健側小臼歯部、5.口蓋正中部の5部位とし、コントロールとしてオトガイ正中皮膚部とした。 術後口蓋裂患者の口蓋感覚測定値のデータを現在、Perko法による二段階口蓋形成術施行患児のグループ、Perko法以外の方法で口蓋裂手術を行った術後口蓋裂患者のグループ、鼻咽喉閉鎖不全が原因で、口蓋裂言語を呈する患者に適用する咽頭弁移植術施行患者におけるグループ分けを行い、それらの比較検討を行っている。 さらに正常人との比較、口蓋裂患者を年代別、手術法別などによる分類を行うとともに、音声言語との関連性、さらに鼻咽腔閉鎖機能測定値との関連について検索している。
|