研究概要 |
兎のオトガイ神経電気刺激によって血圧は初期の血圧低下とその後に続く血圧上昇の2相性の反応を示す.平成8年度はこの循環反応に対する笑気,イソフルラン(揮発性麻酔薬),フェンタニール(オピオイドμ受容体刺激薬),クロニジン(アドレナリンα_2受容体刺激薬),ネオスチグミン(コリン作動薬),L-フェニルイソプロピルアデノシン(L-PIA,アデノシンA_1受容体刺激薬)の効果を検討した. オトガイ神経電気刺激によって発現する循環反応を血圧低下反応と血圧上昇反応とに分けると,笑気とフェンタニールは血圧低下反応を抑制した.これに対して,イソフルラン,クロニジン,ネオスチグミン,L-PIAはおもに血圧上昇反応を抑制した.この際,イソフルラン,クロニジン,L-PIAは量(濃度)依存性に血圧を低下させた.このことから,体性侵害刺激に対する各薬剤の作用機序の差が示唆された.すなわち,これらの薬剤を適切に組合せることで口腔外科手術のためのより安全かつ効果的な麻酔が行えるのではないかと考えられる. 以上の知見について,第24回日本歯科麻酔学会総会(新潟),4th America-Japan Anesthesia Congressおよび71st International Anesthesia ResearchSociety Meeting (San Francisco)において発表し,また第44回日本麻酔学会(新潟)において発表する予定である. 平成9年度はペンタゾシン(オピオイドκおよびδ受容体刺激薬),プロポフォール(静脈麻酔薬),ミダゾラム(GABA作動薬),ケタミン(NMDA受容体拮抗薬)について検討し,さらに各薬剤の適切な組合せについて考察したい。
|