研究概要 |
私たちはPTHrP値が口腔癌の末期症例にて上昇すること明らかにした.この結果は1996年3月のInternational Association for Dental Research,74th General Session of the IADR, にて「A Study of Serum PTHrP Levels in Patients with Oral Carcinoma and Hepatoma」を報告予定である.また,I型コラーゲンのテロペプチッドである1CTPの測定を行い,この値とPTHrP値が相関することを認めた.この結果は1996年4月に日本口腔科学会総会にて「顎・口腔扁平上皮癌と肝細胞癌における血清ICTP値およびPTHrP値の検討」と題して発表予定である.PTHrPの組織学的局在は下記のように検索が進行中である. 口腔扁平上皮癌細胞におけるPTHrP発現の検索(平成7年度) 対象;口腔悪性腫瘍症例7例(骨浸潤症例3例,非骨浸潤症例1例,転移症例2例,インド口腔癌症例1例).非悪性口腔病変5例(白板症2例,乳頭腫1例,扁平苔癬1例,線維腫1例)と乳腺組織の3例,計15例(19切片)でPTHrPの免疫組織染色を行った.使用した抗体は抗PTHrP(1-34)ウサギ抗血清である.先ず希釈倍率決定のために500倍,1000倍,2000倍,4000倍,8000倍で染色した.適切抗体希釈倍率として8000倍16,000倍,32,000倍とした.結果は口腔悪性腫瘍5例7切片のうち2例3切片に胞体がPTHrP染色陽性と判定された.口腔悪性腫瘍転移部位の組織では2例4組織(4切片)のうち1組織(1切片)にPTHrP染色陽性と判定された.非悪性の口腔病変では5例(5切片)全例でPTHrP染色陰性と判定された.乳腺組織では3例(3切片)のうち1例でPTHrP染色陽性疑い,2例でPTHrP染色陽性であった.現在非特異的反応の除外のためにPTHrP 1-86 NH_2の凍結乾燥品を入手し,吸収試験を行って特異性の検定を行う準備中である.特異性の確認後は症例を追加して検討予定である. PTHrP遺伝子のプロモーター領域の解析(平成8年度,平成9年度) 現在凍結口腔癌組織からのDNA抽出は進行中である.
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