研究概要 |
私たちは口腔癌の末期症例にてPTHrP値が上昇することを明らかにした.この結果は平成8年3月のInternational Association for Dental Research,74th General Session of the IADR,San Franciscoにて報告した.また,1型コラーゲンのテロペプチッドである1CTPの測定を行い,この値とPTHrP値が相関することを認め平成8年4月に日本口腔科学会総会にて発表した. 口腔扁平上皮癌細胞におけるPTHrP発現の検索(平成8年度) PTHrPの組織学的局在については下記の検討が平成8年度内に行われた.方法;口腔扁平上皮癌(舌11例,下顎歯肉8例,口底6例,頬粘膜3例,上顎歯肉2例,上顎洞1例;stagel 5例,stageII 6例,stageIII 9例,stageIV 8例,末期癌 3例)の31例で検討した.血清C-PTHrP末端値は第一ラジオアイソトープ研究所製RIAキットで測定した.病理組織検査はHE染色を用い,浸潤度はAnneroth分類で判定した.immunohistochemistryは抗PTHrP(残基38-64)モノクローナル抗体を用いた.結果;検討した末期癌3例のうち2例では血清PTHrP値が上昇しており,同時期の組織のimmunohistochemistryにより著明なPTHrPの発現が確認できた.28症例の治療前生検標本で検討してみると発現が分泌顆粒状に見られ,moderateからintensiveと判定されたのは17例(60.7%)で,同時期の平均血清C-PTHrP値は40.9±13.3pmol/lであった.発現が軽度である群の11例(39.3%)では平均血清C-PTHrP値は46.3±21.4pmol/lで両群に有意差は見られなかった.stageIII,IV群では有意にstageI,II群より血清C-PTHrP値が高かった.しかし,PTHrPの組織内発現には両群間で一定の傾向はないようであった.この結果は平成9年7月の第15回日本骨代謝学会にて発表予定である. PTHrP遺伝子のプロモーター領域の解析(平成8年度,平成9年度) 凍結口腔癌組織抽出PTHrP遺伝子のプロモーター領域の塩基配列解析はABI Prism Dye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kitを用い,また同領域のメチル化はsouthern blotting法により解析続行中である.
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