研究概要 |
ヒト悪性リンパ腫由来のCEM樹立細胞株においてp-glycoprotein(pgp)の発現を認める抗癌剤耐性株は、その発現量に比例してLAK細胞により細胞障害を受けやすいことが我々の系で明らかになった。その詳細は以下のとうりである。細胞接着分子(ICAM-1, ICAM-2, LFA-1)の発現では親株と(pgpを発現した)抗癌剤耐性株との間には大きな差はなく、CEM親株と抗癌剤耐性株細胞に対するLAK細胞の細胞障害活性の差は、これら細胞接着分子に依存しないことが示唆された。しかしながら、細胞表面上のMIIC class 1, CD44抗原発現はCEM細胞が抗癌剤耐性になるほど減少した。また、MRK-16単クロン抗体でpgp細胞外ドメインをblockしてもLAK細胞に対する感受性に差はなく、LAK細胞はpgpの認識を介して細胞障害性を示さないことが考えられた。しかしながらこの細胞障害活性が変わらぬ理由の一つとして、実はMRK-16単クロン抗体はpgp細胞外ドメインと結合することによりLAK細胞の認識を阻害しているかも知れないのだが、この抗体のFc部分にLAK細胞のFc receptorが結合しADCCを起こしてしまい、結果としてMRK-16単クロン抗体によってpgp細胞外ドメインをblockしても細胞障害活性が変わらないのは、その分の細胞障害活性が上乗せされているせいなのかも知れない。従って、現在MRK-16単クロン抗体の(Fab)^2によるblocking assayを試みている。一方、CEM親株、あるいは抗癌剤耐性株に対してLAK細胞のどうのようなポピュレーションが細胞障害活性に関与しているのか検討したが、その結果、CD4, CD8抗原陽性細胞は殆ど細胞障害活性を示さず、CD16抗原陽性細胞に於てはpgpの発現量の多い抗癌剤耐性株に対するほど高い細胞障害活性を示し、その主役を演じていることが明かとなった。
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