研究概要 |
目的:羊顎関節円板周囲組織の切離、および顎関節円板周囲組織の切離後に円板を強制的に顎関節頭の前方に押し込むことによりに関節転位モデルを作り、3カ月後に顎関節を摘出し,円板転位によって惹起される顎関節内の病理組織学的変化を明らかにする. 方法: 1.羊6頭を2群に分け、以下に記載する2方法で左右顎関節で円板転位を作製した. 2.第1群では円板の外側翼突筋付着部以外の円板周囲結合組織を切離し,円板が外側翼突筋に牽引されるようにして円板転位を作製した. 3.第2群では第1群と同処置後、更に円板を強制的に外側翼突筋の方向へ押し込んだ.この方法は1990年Tallentsが兎を用いて円板転位を作製した確実な方法である. 4.2群とも手術後3カ月後に屠殺し、左右顎関節を一塊として摘出した. 5.それぞれのブロックを脱灰し、組織標本を作製し、一部その所見分析を行った. 結果:第1群では円板転位を16%に、円板変形を16%に、円板穿孔を33%、変形性顎関節症の変化を33%に認めた。第2群では円板転位を50%に、円板変形を50%に、円板穿孔を83%、変形性顎関節症の変化を83%に認めた。 考察:予想された如く第2群(円板を強制的に外側翼突筋方向へ押し込んだ群)では円板や骨の変形が著しい傾向を示した.レントゲン撮影に関しては,顎関節の規格撮影ができないため,明確な所見が得られなかった.総合評価にこのレントゲン所見を用いるかどうかについては疑問を残した.
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