研究概要 |
In vivoの実験として、Wistar系ラットを用いて種々の大きさの矯正力で歯を移動し、1,3,5,7,14日後に屠殺し、通法に従い固定、脱灰、包理、薄切後、HSP60,70に対する抗体を用いて、ストレスタンパク質の発現と局在を免疫組織化学的手法により調べた。平成7年度は基本的に抗HSP60,70抗体による免疫染色法を確立するための基本的実験を行った。 In vivoの実験は、矯正治療患者の便宜抜去歯歯根より歯根膜細胞を分離し、培養する系を確立した。また外科矯正患者より部分切除された下顎断片より骨芽細胞を分離、培養する系も確立した。これらの細胞培養系を用いて、基本実験として培養ディッシュ上で1,2,4g/cm^2の圧縮力を細胞に負荷して、HSP60,70の経時的なタンパク発現をこれらのストレスタンパク質に対する抗体を用いてウェスタンブロッティング法と免疫組織染色法により調べた。その結果歯根膜細胞についてはHSP60,70共に圧縮力負荷開始30分後から発現の増強が認められ、数時間後には負荷前の発現状態に戻ることが示された。また、圧縮力の大きさの増加に伴い発現の増強が認められた。また、メカニカルストレスに対する基礎的な細胞内情報伝達機構を調べるために、in vivoにおける骨芽細胞様細胞の成熟過程とカゼインキナーゼなど細胞内情報伝達機構に関係している酵素活性の変化に関する研究を行い、細胞質内カゼインキナーゼは石灰化開始期の細胞内情報伝達機構に関与していることが明らかになった。
|