研究概要 |
in vitroにおいて持続的加圧刺激をヒト歯根膜線維芽細胞様細胞(HPLF)に加え、その培養上清が株化骨芽細胞様細胞(MC3T3-E1細胞)にどのような影響を及ぼすのかについて検討した。HPLFを1、3、6、12、24時間加圧後、培養上清を採取しS-CMとした。一方、加圧を行わずに採取したHPLFの培養上清をNS-CM,細胞培養していないmediumをC-Mとした。これらをMC3T3-E1細胞に添加し、アルカリフォスファターゼ(ALPase)活性とcyclic AMP(cAMP)産生量を測定した。この反応へのプロスタグランディン(PGs)の関与を調べるために、MC3T3-E1細胞の培養液中のPGE2濃度が0〜200mg/mlとなるように調整し、ALPase活性およびcAMP産生量を測定した。また、培養液中にIndomethacinを添加してHPLFを加圧し、その培養上清をMC3T3-E1細胞に添加して、ALPase活性、cAMP産生量を測定した。 1.S-CMにより、MC3T3-E1細胞のALPase活性、cAMP産生量は、NS-CM、C-Mと比較して時間依存的に有意に上昇し、ALPase活性は加圧後12時間以降、cAMP産生量は加圧後6時間以降有意に上昇した。 2.PGE_2の添加によって、MC3T3-E1細胞のALPase活性とcAMP産生量は、PGE2の濃度(0〜200ng/ml)に依存して上昇した。 3.Indomethacinを添加したS-CMは、MC3T3-E1細胞のALPase活性、cAMP産生量を上昇させなかった。 以上の結果から、S-CMはMC3T3-E1細胞の細部分化能および細胞応答活性を、加圧時間依存的に上昇させていることが示唆された。また、S-CMによるMC3T3-E1細胞のALPase活性、cAMP生産量の上昇には、PGsが関与している可能性が示唆された。
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