プリベンティブ・レジン・レストレーションはコンポットレジンとフィッシャーシ-ラントの併用で行われることが多いが、両者は基本的には同一のレジン系材料である。したがって臨床術式を簡便化し、かつ物性および接着性にすぐれたプリベンティブ・レジン・レストレーション専用のレジン系材料の開発と検討について、平成8年度は主として研究を行った。よって平成7年度の研究成果にもとづいて開始したプリベンティブ・レジン・レストレーションの臨床試行に関しては、症例を増加させずに、新しい材料による試行を待つこととした。球状フィラーを多く含有させることで流動性を犠牲にせずに物性を向上させうる試作シ-ラントを使用して、従来のコンポジットレジンおよびシ-ラントとともに、衝突摩耗試験機タイプIIを用いて理工学的検査を行った。その結果試作シ-ラントはコンポジットレジンのようにボンディング材を併用した方が辺縁封鎖性、辺縁破折などについて良好な結果が得られた。またボンディング材の粘度についても従来より低いものが望まれるため、4種類の粘度の異なるボンディング材を試作し、歯面接着性との関連性を調べた。その結果、相対的に粘度の高いものの方が接着性は良好であったが、コンポジットレジンに使用されているものよりも粘度が低い材料で充分な接着が得られることがわかった。今後これらの結果にもとづき、専用材料の実用化をすすめていく予定である。
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