研究概要 |
A.根面齲蝕のin vitro再石灰化におよぼすセメント質の影響 1.根面の再石灰化をセメント質の有無別に単一切片を応用したマイクロラジオグラフィによりin vitroにおいて観察した。 2.ヒト抜去小臼歯の歯根よりセメント質保存試料と表層を研磨して象牙質を露出させた試料を作製した。 3.0.1M乳酸ゲル(pH=5)で2週間脱灰後,厚さ約100μmの切片を切り出した。脱灰歯面以外をネイルバーニッシュで被覆し,フッ素濃度1ppm含有の再石灰化液(20mM Hepes,1.5mMCa,0.9mMP;pH=7)に8日間浸漬した。 4.本研究の結果から,根面の脱灰はセメント質の有無とは明らかな関連を示さないが,一方,根面の(過)再石灰化にはセメント質の有無がきわめて強く影響することが示唆された。 B.エナメル質脱灰裂溝のin vitro耐酸性におよぼすレーザー照射の影響 1.脱灰したヒトエナメル質人工裂溝に,波長248nmのkrFエキシマレーザー(総エネルギー密度:172J/cm^2),または波長532nmのQスイッチNd:TAGνレーザー第2高調波(総エネルギー密度:100J/cm^2)を照射後,乳酸ゲル(pH=5)に3週間浸漬する耐酸性試験に供し,マイクロラジオグラフィによりミネラル分布を定量的に評価した。 2.裂溝底部の脱灰深度1d(μm)とミネラル喪失量△Z(vol%・μm)は,エキシマレーザー照射試料,Nd:YAGレーザー照射試料とも未処理試料と比較して明らかな違いを示さなかった。 3.また,裂溝に近接するエナメル質表層部でも同様の傾向が認められた。 4.すなわち,エナメル質初期齲蝕のさらなる脱灰の進行はレーザー照射によって制御されない可能性が示唆された。
|