研究課題/領域番号 |
07672233
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
斉藤 茂 昭和大学, 歯学部・歯科矯正学教室, 講師 (20195986)
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研究分担者 |
諸橋 富夫 昭和大学, 歯学部・歯科薬理学教室, 講師 (10146871)
倉林 仁美 昭和大学, 歯学部・歯科矯正学教室, 助手 (20255889)
真鍋 真人 昭和大学, 歯学部・第二口腔外科学, 講師 (30190557)
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キーワード | 矯正学的歯の移動 / チタン・インプラント / 固定源 / 軟X線写真 |
研究概要 |
先ず実験モデルとして成長の終了した雄性ウサギ(日本白色種、生後6か月後、体重3kg)を用いたが、下顎切歯部に植立したインプラントの予後が思わしくなく、ウサギの体重の減少もあり、とてもこの状態で矯正学的歯の移動が行えるとは考えられず、予定を変更し、4匹の雄性ウサギの両側橈骨(計8か所)を用い、1cmの間隔をあけてブロ-ネンマルクチタンインプラント(直径3mm)を2本(計16本)埋入した。インプラント埋入2か月後に2匹のウサギの各片側の橈骨(インプラント4本)を対照群としてさらに4週間放置した。対照群を除くすべての橈骨(6か所、インプラント12本)に対しては1cm間隔で植立された2本のインプラント間にステンレススチール・ワイヤーにて約50-60gの相反的な力を加え4週間放置した。対照群、実験群ともに4週間の実験期間終了後、軟X線写真を撮影し、その直後に屠殺し、組織学的に観察を行った。現在、組織切片は硬組織の脱灰中の為、軟X線写真の結果のみ報告する。先ず埋入したインプラント体はすべてのケースで感染をおこさずに骨中にrigidに結合されており、2か月後からの側方荷重に対しても同様の状態を保っていた。また2本のインプラント体が解剖学的に適正な位置に埋入されれば、インプラント体は骨にrigidに保たれており、インプラント体の離開はほとんど認められず、骨の新生も埋入部付近の表層に限局していた。しかし2本のインプラント体の平行性が悪かったり橈骨の中心からずれて植立した場合にはインプラント体を介して周囲の骨梁に余分な力がかかり、その結果インプラント体の傾斜を伴った離開とインプラント植立部付近の広範な骨梁に骨の新生が認められた。今回は成長が終了したウサギを用いており、この骨の新生部は肉眼的にも触診においても正常な骨の強度を有しておらず、詳細に関しては組織学的評価を待たなくてはいけないが、今回の結果よりインプラント体を顎骨部に植立した場合でも十分矯正学的な固定源として臨床応用しうる可能性が示唆された。しかし作用させる矯正力の大きさとその作用方向に関しては、インプラント体埋入部の解剖学的位置とともに慎重に選定しなくてはならないことも同時に示唆された。
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