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1995 年度 実績報告書

アミノ酸のラセミ化反応を利用する歯からの年齢推定

研究課題

研究課題/領域番号 07672242
研究種目

一般研究(C)

研究機関神奈川歯科大学

研究代表者

大谷 進  神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60104478)

キーワード歯 / 年齢推定 / ラセミ化反応 / D-アスパラギン酸 / 象牙質 / 固定液 / エタノール / ホルマリン
研究概要

アミノ酸ラセミ化法は、もっとも正確に歯から年齢が判る方法であると考えられている。この方法により身元不明死体の歯から正確に年齢を鑑定するには、鑑定資料の他に数本の同顎同名歯の対照歯が必要である。しかし、対照歯は、一般にエタノール、ホルマリン液(ホルマリン)などの固定液に保存されていることが多い。そこで、歯を95%エタノール、10%ホルマリンおよび10%中性ホルマリンの固定液に保存された場合を想定し、象牙質アスパラギン酸のラセミ化反応(ラセミ化率)がどの程度進行するか、また、年齢鑑定の対照歯として利用できるか否か加熱実験を行いArrhenius式を求め比較検討した。
各環境温度のラセミ化反応速度式および速度定数(khr^<-1>)を求めたところ、次のようなArrhenius式が算出された。95%エタノールではlnk=-22568(1/T)+53.7、10%ホルマリンではlnk=-21787(1/T)+51.4および10%中性ホルマリンではlnk=-22333(1/T)+53.6が得られた。そこで、1年間の大気中の気温を15℃と仮定し、各固定液のラセミ化反応速度定数(kyr^<-1>)を求めたところ、95%エタノールではk=1.7833×10^<-7>、10%ホルマリンではk=2.6879×10^<-7>および10%中性ホルマリンではk=3.6472×10^<-7>と算出された。この結果、象牙質アスパラギン酸のラセミ化反応速度は、10%中性ホルマリン>10%ホルマリン>95%エタノールの順に速く認めらた。しかし、歯を15℃(室温)の固定液に保存された場合は、ほとんど進行がみられなかった。これを年齢に換算すると歯を10年放置しても1歳も増加しない結果であった。このため、10年から20年程経過した歯のラセミ化率(D/L比)および年齢は、抜去時とほとんど変わらないことが認められた。現在、Journal of Forensic Sciencesに投稿中である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Susumu Ohtani: "Racemization of Aspartic Acid in Human Cementum with Age." Archives of Oral Biology. 40. 91-95 (1995)

  • [文献書誌] Susumu Ohtani: "Age-Related Changes in D-Aspartic Acid of Rat Teeth." Growth, Development & Aging. 59. 55-61 (1995)

  • [文献書誌] Susumu Ohtani: "Studies on Age Estimation Using Racemization of Aspartic Acid in Cementum." Journal of Forensic Sciences. 40. 804-806 (1995)

  • [文献書誌] Susumu Ohtani: "Estimation of Age from Dentin Using the Racemization of Aspartic Acid." The American Journal of Forensic Medicine and Pathology. 16. 158-161 (1995)

  • [文献書誌] Susumu Ohtani: "Estimation of Age from the Teeth of Unidentified Corpses Using the Amino Acid Racemization Method with Reference to Actual Cases." The American Journal of Forensic Medicine and Pathology. 16. 238-242 (1995)

  • [文献書誌] Susumu Ohtani: "Estimation of Age from Dentin by Utilizing the Racemization of Aspartic Acid: Influence of pH." Forensic Science International. 75. 181-187 (1995)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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