研究概要 |
対称型末端ジェン(1,6-ヘプタジエン,1,5-ヘキサジエン)にシャープレスの不斉ジヒドロキシル化(AD)を行ったところ,期待通りC_2対称なテトラヒドロキシル体が生成した.得られたテトラヒドロキシル体から環状アミンの不斉補助基であるα,α'位二置換ピペリジンおよびピロリジン体の合成に成功した.光学純度は期待通り,エナンチオ制御面が2箇所あることから相乗効果により,本来の末端オレフィンに対するエナンチオ選択性よりも高い不斉収率が達成されピペリジン体に関しては両対掌体とも>99%eeであった.ピロリジン体は現時点では86%eeの不斉収率であったが,シリカゲルカラム精製の際,溶出順序でその光学純度が変化するという,興味ある現象を見いだした.その結果,溶出順序が後になるに連れて光学純度が低下することが判明した. 当初の目的であるC_2対称分子の創製は、対称型末端ジエンに対する不斉ジヒドロキシル化(AD)で達成することができた. 光学純度は期待通り,本来の末端オレフィンに対するエナンチオ選択性よりも高い不斉収率が1,6-ヘプタジエンの場合達成されたが,1,5-ヘキサジエンを用いる場合はそれほど高くなく、現在二段階目のヒドロキシル化の際、反応点に近い所に存在する水酸基が選択性に影響を与えるのではないかと推察している。 創製したC_2対称分子テトラヒドロキシル体から不斉補助基であるα,α'位二置換ピペリジンおよびピロリジン体に導くことができた. α,α'位二置換ピロリジン体は非キラルなシリカゲルカラム精製の際,溶出順序でその光学純度が変化するという,興味ある新現象を見いだし,カラム精製で光学純度を測定することは危険であることを示唆することができた。
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