研究概要 |
DNAのC4′位水酸化体より生成する修飾DNA(1)とアミンとの反応によるDNA鎖の解裂機構を解明するため種々のヌクレオチド誘導体を合成し、アミンとの反応を検討した。まずアミンとの反応過程で1より生じると予想される3′末端に2,5-ジヒドロキシ2,5-ジヒドロフルフリル基を有するジヌクレオチド誘導体(2)を用いて種々の条件下アミンとの反応を行った。アミン水溶液(pH12)との反応では5′末端リン酸エステル部分の脱離が室温で速やかに進行した。中性、弱酸性(pH5)条件下ではリン酸エステル部分の脱離に伴い、ラクタム体が80%程度の収率で生成することを見いだした。次に修飾DNA(1)とアミンとの反応性を検討した、C4′位をフェニルセレニル化した2′-デオキシアデノシン誘導体(3)を合成し、3′,5′位水酸基をメチルリン酸化した。これをNBSと処理し、C4′位置換基の水酸基への変換、アデニンの脱離により、1の部分構造である3′,5′位水酸基をリン酸エステル化した1,4-ジヒドロキシ2-デオキシリボースを調製した。ひきつづきpHを8付近に調製したアミン水溶液と反応させたところラクタム体が40%程度の収率で得られた。この結果から1はアミンと反応しラクタムを形成しながら3′,5′末端のリン酸エステル部分を脱離することによりDNA鎖を解裂するという、1のアミンとの反応によるDNA鎖の解裂における主要な1経路を示した。 修飾DNA(1)の金属イオンによる切断に関してはまず2を用いてYbCl_3,CeCl_3との反応を検討したが、現在のところ解裂には成功していない。
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