研究概要 |
A) N-NH_2化核酸塩基誘導体の反応性の検討 1) 9-aminoadenine, 7-aminoadenine, 1-aminobenzimidazole deriv., 1-amino-3-methylbenzimidazolium ion deriv.にCH_3COCH_2COCH_3 (AA)を反応させると、AAがN-NH_2基と隣のC8 (2)位の部位とで架橋した三環性誘導体、またさらに反応が進んでimidazole部位が開裂した誘導体、そしてAAが単にN-NH_2基のところで縮合した誘導体が得られた。これらの結果は、N-NH_2基が新ring systemの構築に有用である事を示唆するものである。 2) 7-aminoadenineや1-aminobenzimidazole deriv.をそれぞれ四酢酸鉛(LTA)で酸化すると、二分子の化合物がN-NH_2基間で結合し、ダイマーのN-N=N-N体を与えた。一方、四級塩型の7-amino-9-ethylguanineや1-amino-3-methylbenzimidazole deriv.にLTAを作用させると9-ethyl-8-azaguanineや1-methyl-2-azabenzimidazole deriv.が生成した。本実験により、imidazoleのN-NH_2体を用いることにより、生物活性の期待できる8 (2)-aza体を容易に合成できることを明らかにした。 3)発癌性4NQOのguanine残基の7位付加体のモデル化合物として、1-methyl-3-phenylaminobenzimidazoleの合成に成功した。本化合物の化学特性を明らかにすることで4-NQOの7位付加体の化学特性を明らかにすることができる。 B)イミダゾール環に対するラジカル的メチル化 発癌性methylhydrazineは代謝され、一部はmethyl radicalとなって細胞DNAのguanineの8位をメチル化することが報告されているが、その修飾による生物的意味は明らかにされていない。今回、8-methyl-2′-deoxyguanosine (8-MedG)を含むoligomerを合成することができ、miscoding活性を調べることができた。その結果、8-MedGは複製の際に頻度は低いが、GまたはAを誤って取り込むことを明らかにし、このような小さな修飾でも、発癌や突然変異に関連することを明らかにした。
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