研究概要 |
抗アレルギー活性を指標とする研究 1.対象とした伝統薬物 シャゼンソウ,レンギョウおよびシンピについて検討を行った。 1.含有フェノール性成分の単離 日本・中国産シャゼンソウからフェニルエタノイド配糖体11種,フラボノイド8種,イリドイド配糖体1種,ヨーロッパ産シャゼンソウからフェニルエタノイド配糖体6種,フラボノイド3種,イリドイド配糖体5種,レンギョウからリグナン8種,フェニルエタノイド配糖体4種,シンピからクマリン4種,フェニルエタノイド配糖体2種を単離し,それぞれ構造決定を行った。 1.抗アレルギー活性のスクリーニング 単離した成分について以下のスクリーニング試験を行った。 (1)ヒスタミン遊離抑制作用:対象薬にbaicaleinとketotifenを用い,ラット腹腔肥満細胞から検体存在下Compound48/80により遊離されるヒスタミン量を蛍光法により定量し,抑制率を算出した。その結果,フェニルエタノイド配糖体やフラボノイドの配糖体には活性を認めなかったが,シャゼンソウからのフラボノイドのapigenin,luteolin,scutellarein,6-hydroxy-luteolinにそれぞれ活性を認めた。 (2)5-lipoxygenase阻害活性:アラキドン酸代謝系でのロイコトリエン生成に関与する酵素である5-lipoxygenaseの阻害活性試験を行った。その結果,シャゼンソウおよびレンギョウからのフェニルエタノイド配糖体のplantamajoside,acteoside,forsythiaside,シャゼンソウからのフラボノイドのscutellarein,6-hydroxyluteolin,シンピからのクマリンのesculetinなどに高い阻害活性を認めた。 (3)アラキドン酸誘起耳急性炎症抑制作用:アラキドン酸により誘発されるマウスの耳急性炎症モデルを用いた抗アレルギー試験を行った。その結果,シャゼンソウおよびレンギョウからのフェニルエタノイド配糖体のacteoside,plantamajosideに炎症抑制作用を認めた。本結果は5-lipoxygenase阻害活性の結果とよく一致した。
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