研究課題/領域番号 |
07672284
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
山田 紘一 城西大学, 薬学部, 教授 (70077973)
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研究分担者 |
中川 弘子 城西大学, 薬学部, 助手 (40118534)
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キーワード | チアヘテロヘリセン / 血清アルブミン / 活性サイト / キラリティー認識 / CDスペクトル / 不斉変換反応 / キラルミセル |
研究概要 |
生体反応のメカニズムを解明する一環として、[5]チアヘテロヘリセン(I)およびその誘導体をプローブして用い、昨年度得た血清アルブミンとの相互作用の知見を発展させ、生体高分子化合物ないし生体物質の作る不斉な場におけるキラリティー認識能力を調べ、以下のような結果を得た。1.プローブ化合物の合成と評価・・・I、Iの2-ヒドロキシメチル(II)、2-カルボン酸(III)、およびIIのステアリン酸エステル(IV)をそれぞれ合成した。これらの化合物は、常温では適度な速度で両対掌体(PおよびM体)間のラセミ化を起こし、キラリティー認識能力のプローブに適していることが判明した。2.ウシ血清のキラル識別能力へのプローブ・・・ウシ血清にIIを作用すると、血清中のアルブミンによるIIの取り込みに由来する誘起CDスペクトルが観測され、IIはキラリティー識別のプローブとして血清へも適用可能であることが判った。さらに、この方法で温和な熱処理により生じた血清の僅かな変化をも明瞭に検知することができた。3.糖尿病ラット血清への応用・・・アロキサンを投与した糖尿病ラットより得た血清にIIを加えた試料の誘起CDスペクトルは、コントロール群である正常ラット血清より得たスペクトルと比べ、吸収強度が弱くブロードニングがみられ、病変により血清のキラル識別能力が低下したことが示唆された。4.キラルミセル中での挙動・・・光学活性なN-ステアロイルセリンの作るミセルをキラルな場として、II〜IVとの相互作用を検討した結果、いずれのプローブもそのヘリセン部分の反転を遅くして、ミセルの配向性を高める作用を有することが判った。
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