エリシター活性を有する糖タンパク質は分子量130万と非常に大きい為、その有効最小単位を見いだすために関連モデル化合物の合成を行なうことを目的とし、先ず最小単位である三糖-セリン、三糖-セリルプロリン縮合体の合成を行い、栽培したエンドウ胚軸を用い、ファイトアレキシンであるピサチンの産生、蓄積を定量し、弱いながらも活性を認めた。本最小単位は明らかに活性構成単位ではあるが、更なる分子量あるいはペプチド分岐鎖を必要とすると考え、セチルプロリンを基本単位として延長させ、そのセリン部分への三糖の多岐にわたる分岐縮合を試み、多くのオリゴ糖ペプチドを合成した。これら合成品に関し、エンドウ上胚軸におけるピサチンの誘導、細胞壁画分ATPase活性に及ぼす影響、さらには、病原菌に対する感染阻害等について検討し、種々の興味ある結果を得た。 エリシター活性を有する糖タンパク質の全構造を解明するため、エンドウ褐紋病菌Mycosphaerella pinodesから分生芽胞を取り出し、培養後、水にて溶質させ、分子篩にて分画を繰り返し、エリシター活性本体画分について、更に逆層HPLC、SDSポリアクリルアミド電気泳動等にて精製し、純粋な糖タンパク質を得、アミノ酸組成並びにアミノ酸一次構造解明を行いつつある。
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