研究概要 |
抗生物質K41は強い抗細菌・抗原虫活性を有するイオノフォア抗生物質で、特徴的な遅延性毒性を示すことが知られている。本研究では生活物質の改善と新しいイオン選択性を有する誘導体を求めて構造変換を行った。 まず申請者らは、K41(I)に構造変換活性を有する細菌を分離し、Leclercia adecarboxylataに属する菌株と同定した。次に本菌株による変換成績体を単離精製して27C6物質(II)を得た。IIは生物活性もイオン選択性も示さないが、F環の開裂と糖部分の離脱を伴い、替わってC_<27>-C_<29>位にα,β-不飽和ケトン構造を生成しており、誘導体作成の好適な中間体として期待できたが、収量は約20%程度と低く、化学変換条件を検討して、Iをアルコール溶媒中でアルカリ加水分解を行うことによる大量調製法を確立した。 IIを経由する構造変換として、i)二重結合およびケトン基の還元反応、ii)F環の再構成、iii)二重結合の酸化、iv)ケトン基関連の誘導体およびN原子の導入を選び、順次検討を行っている。このうち、還元成績体IIIはF環を再現したdeamicetosyl-Iの構造を有し、イオン選択性に変化はなかったが、強い抗菌活性(in vitro)を認めた。還元成績体IVはC_<27>-C_<29>位に飽和炭化水素構造を有し、二価金属イオンに選択性を示し、抗菌活性を再現した。 N原子の導入には、IIの反応により、C_<29>=NOH(IV)、C_<29>=NOMe(V)を調製した。これらは生物活性にもイオン選択性にも特徴を示さないが、アミノ基導入の手がかりを得たことになる。 また、これらの反応の追跡にHPLCを導入したところ、各ポリエーテル郡抗生物質の性質に従って様々な問題点が明かとなった。
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