研究概要 |
本研究では,経口制癌性白金錯体の開発を目指して開発研究を加えてきたC4-OHP[trans,cis,cis-bis(n-butyrato)(1R,2R-cyclohexanediamine)(oxalato)platinum(IV)]と C5-OHP [trans,cis,cis-bis(n-valerato)(1R,2R-cyclohexanediamine)(oxalato)]について,高感度HPLC分析法を開発した.次いで、活性代謝物の検索を行い、活性代謝物の高感度HPLC分析法を開発した. 1.C4-OHP,C5-OHPの分析法 分離カラムにODSカラム,溶離液に水/アセトニトリル系を用いた逆相分配系で分離溶出後,金属亜鉛を充填したカラムに通して2価白金錯体としたのち,亜硫酸水素ナトリウムと反応させて誘導化し,290nmで紫外吸収検出することにより両錯体の定量が可能になった.検出下限は20nMと期待どおり高感度であり,血漿試料および培養細胞の破砕試料では,特に前処理を施さなくても限外ろ過による除タンパクだけで分析が可能であった. 2.活性代謝物の分析法 先ずグラジエント溶出HPLCを用いて活性代謝物を検索しあ結果,Pt(II)(1R,2R-cyclohexanediamine)(oxalato)[OHP]が同定され,in vitroではC4-OHP及びC5-OHPからOHPが定量的に生成することが分かった.そこで,OHPの高感度HPLC分析法の開発研究を行った.OHPは陽イオン交換系で分離溶出後,ポストカラムで亜硫酸水素ナトリウムと反応させて誘導化し,290nmで紫外吸収検出することにより,OHPの定量が可能になった.検出下限は50nMと期待どおり高感度で,血漿試料および培養細胞の破砕試料では,特に前処理を施さなくても限界ろ過による除タンパクだけで定量が可能であった. 現在,本年度の研究で開発した分析法を用い,培養腫瘍細胞をC4-OPH,C5-OHPで処理した際のC4-OHP,C5-OHP,OHPの細胞内動態を検討するとともに,ラットにC4-OHP,C5-OHPを一回経口投与した後の血漿中C4-OHP,C5-OHP,OHPの動態を研究している.
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