研究概要 |
金属ポルフィリン(MP)担体を酵素に代わる人工固体触媒として開発する研究全体の目的のうち,平成7年度には,下記の成果などを得た. (1)Tetrapheny1porphine金属錯体からクロルスルホン酸を用いてスルホニルクロライド化物を,Protoporphyrin金属錯体やTetrakis(carboxypheny1)porphine金属錯体からチオニールクロライドで酸クロライド化物を合成した.ついで,アミノ基を持つガラスビーズなどに,スルホンアミドまたはアミド結合で,銅,コバルト及びマンガン-ポルフィリン金属錯体を固定化することができた. (2)上記(1)で得られた種々のMP担体のペルオキシダーゼ様機能を,4-アミノアンチピリン・フェノール系による色素生成反応などを用いて,検討した.その結果,人工固体酵素としてMP担体を用いるることができることを明らかにし,さらに,過酸化水素の定量法(バッチ法)に利用できる可能性もあることを明らかにできた. (3)上記(2)の検討の結果を踏まえ,最も高いペルオキシダーゼ様活性を持つMP担体を固定化ペルオキシダーゼの代用として用いる過酸化水素のフロー分析法の開発を試みた.その結果,MP担体の固定化ペルオキシダーゼの代用として、利用できることがわかった.なお,この際に,購入したHPLC用のポンプをフロー用に代用した.なお,反応系としては,現在,4-アミノアンチピリン・フェノール系および4-アミノアンチピリン・ジエチルアニリン系による呈色反応を主に用いてた. (4)一方で,MP担体は,イオン交換樹脂に固定したもの(MP樹脂)の場合に比べ,目的成分や基質の吸着がほとんどないなどの利点を持っていたが,アルカリ性下でやや不安定であるなどの欠点も見付かった.今後,これらの点も踏まえ,研究を成し遂げたいと考えている.
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