研究概要 |
テトラデカノイック酸(HC14)とパ-フロロカルボン酸(鎖長10、12、14、16、18:以下略記FC10,FC12,FC14,FC16,FC18)の混合単分子膜 炭化弗素鎖と炭化水素鎖は共に疎水性でありながら凝集力の大きな差により、三次元マトリツスにおいて相互溶解性に乏しい。しかしながら、極性基の相互作用が強いときはよく混合する場合もある。これらは、炭化水素鎖界面活性剤と炭化弗素鎖界面活性剤の混合ミセル形成や、それらの界面吸着挙動より明かである。これらの三次元挙動と二次元挙動を比較研究することは興味深いことである。そこで、炭化弗素鎖と炭化水素鎖の相互作用を考慮するため、炭化弗素脂肪酸と炭化水素脂肪酸の混合単分子膜の実験を行った。298.2Kにおけるこれらの系は相図、混合単分子膜状態より次のように分類出来た。即ち鎖長の組み合わせにより、共沸混合系、共融混合系、全く混じり合わない3つの系に分類された。a)正の共沸混合系(Positive azeotropic system:FC10/HC14,FC12/HC14)相図中に最大表面圧が存在する。2成分は膨張膜状態でも凝縮膜状態でも互いに混じり合う。混合単分子膜状態において、純成分分子間の平均相互作用より弱い2成分間の相互作用が存在する。b)全く混じり合わない系(Immiscibility type system:FC14/HC14)2つの膜形成物質がお互いに混じり合わない。この場合2相は完全に分離している。それ故それらの相図は水平線で2つに分けられる。c)共融混合系(Eutectic type system:FC16/HC14FC18,FC14)この実験温度において、共融混合系は膨張膜と凝縮膜の組み合わせによる、テトラデカノイック酸(HC14)が膨張膜で、FC16,F18が凝縮膜である。HC14とFC16,(FC18)は共融混合系をつくる傾向にある。2成分は膨張膜状態ではお互いに混じり合い、凝縮幕状態では混じり合わない。
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