我々は現在までに以下の点について明らかにした。ポリマー溶液及びキャピラリーゲル電気泳動による二本鎖DNA(72〜1300bp)及びPCR生成物(70〜500bp相当)の分離系を確立した、これにより二本鎖DNAをわずか数塩基の違いで分離することができ、PCR生成物も精製することなく直接分析することが可能になった。さらに高感度検出を可能とするためレーザー蛍光検出について検討し、DNAの発蛍光性インターカレション試薬(アルゴンイオンレーザー用)の検索)12種について検討し、吸光度検出より100倍高感度にDNAを検出することを可能にした。これら至適条件を下にポリマー溶液及びキャピラリーゲル電気泳動によるフェニルケトン尿症及び中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症のAllele Specific Polymerase chain reaction並びにPCR-Restriction fragment length polymorphismの分析を行った。これにより乾燥ろ紙血液3mm径デイスク3枚(全血10μlに相当)を用いて遺伝子診断を行うことが可能になった。今後は遺伝子中の一塩基変異を効率よく検出する一本鎖DNAの高次構造多型(SSCP)の分析について検討する。この研究では、ヒト遺伝子からの検出を可能にするためレーザー(He-Ne)励起蛍光検出ならびに化学発光による高感度化、多重分析を可能にするためのマルチキャピラリー(20本のキャピラリーを用いて20検体を同時分析)による方法を検討する予定である。
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