1.ポリアクリルアミド電気泳動(SDS PAGE)精製装置の作製 当初予定していた精製の手順、「大型電気泳動装置の作製及び大量蛋白試料の泳動」「泳動ゲルから特定蛋白バンドのゲル片の切り出し」「溶出槽の作製及びゲル片から目的蛋白の溶出」を変更し、一段階で蛋白を精製するサブマリン型(水平型)調整用大型SDS PAGE精製装置を完成させた。縦20cm×横20cm×厚さ2cmの平板型ゲルを作り、初めは通常の縦型に泳動する。試料に平行して着色したプレステインマーカーを泳動し、その位置から、泳動中の蛋白の分離状態及び目的蛋白バンドの位置を推定する。目的蛋白が適切な位置に来たら、ゲルを水平に設定し、サブマリン型電気泳動を行なう。目的バンドの下流のゲルに溝を作り、目的蛋白を溝のバッファー中に回収する。本法を以下の蛋白精製に適用した。 2.大腸菌膜結合性ホスホリパーゼA(DRPLA)の精製 DRPLAはSDSで可溶化しても失活しないので、本精製法は特に有効であった。即ち、大腸菌ペレットをフレンチプレスで破菌し、膜画分を遠心にて集め、SDSで可溶化し、アセトン分画し、Mono Qカラム充填剤によるバッチ式吸着精製を行い、粗分画を得た。この試料にSDS PAGE精製を適用し、多数の蛋白バンドから成る粗画分より29KDに単一バンドをもつ、DRPLAを得ることが出来た。従来、各種カラムを繰り返すことにより精製された蛋白が、一本のカラムをかけることなく精製され、本精製法の有用性が示された。論文発表する予定である。 3.PAF・アセチルトランスフェラーゼ(AT)精製 一方、AT酵素はSDSで失活するので本精製法が直接適用できない。ここではAT酵素を同定するのに免疫沈降を利用し、SDS PAGE精製法と組み合わせることにより、有効な精製法が開発できると思われる。現在、予備実験中である。
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