研究概要 |
1.経皮型グルコースセンサーの作製:(1)グルコースオキシダーゼ(GOD)固定化電極の作製:従来の報告の中から本研究にふさわしいと考えられたo-phenylenediamine(PPD)の電解重合による固定化、Nafionによる固定化の2方法を検討した。(2)GOD固定化電極(グルコースセンサー)によるグルコースの定量:Pt/PPD/GOD電極では、グルコース濃度2-2mMの範囲で出力電流と濃度間に直線関係が得られた。しかしグルコース濃度の高いところではアスコルビン酸による影響が見られた。Pt/Nafion/GOD電極ではグルコース濃度1-30mMの範囲で直線性を示し、応答性をのぞく検出感度、安定性、繰り返し使用性の面でPt/PPD/GODセンサーより優れていた。(3)グルコースセンサーによるRIP(逆イオントフォレシス)時のグルコースの定量:^3H-グルコースを用いた検討およびHPLCによる分析から、グルコースはRIP中に皮膚により一部代謝されるが、electroosmosisによりintactなグルコースが皮膚を通して透過されることが確かめられた。さらにRIPを行う以前に0.4mAの定電流を作用極にanodic,cathodic交互に印加するswiched IPを行った場合、RIP時のセンサー出力が大きく、時間は30分間が最も効果的であった。以上からRIPによる非侵襲的な血中グルコース濃度測定の可能性が示された。2.マイクロデバイス化した人工膵島の開発:インスリンのIPシステムの開発においては、フォトエッチング技術を応用して作製した2分割型のマイクロデバイスにより、高血糖ラットにおいて良好な血糖降下作用を得ることができた。インスリン用IPシステムにグルコースセンサーを組み込んだ一体型のマイクロデバイスについては、研究期間内に完成させることができなかった。しかしここで得られた知見はさらなる経皮吸収型人工膵島の開発に向けて有用であると考えられる。
|