研究概要 |
現在までにCYP2A6については、遺伝的多型性の存在が、クマリン代謝の表現型または、ウエスタンブロット分析などで明らかにされつつある。しかし、遺伝子レベルでの研究はほとんどなされていない。本研究では、CYP2A6についてPMの原因遺伝子の特定と遺伝子診断を目的に研究を進めた。 第一にCYP2A6の特異的基質となる薬物であるSM-12502を見いだし、詳細に検討した。In vivo SM-12502代謝試験を健常日本人28名について実施し、代謝能の高いヒト25名(extensive metabolizer,EM)と低いヒト3名(poor metabolizer,PM)の存在が明らかになった。このボランティアのゲノムDNAを用いて、クローニング、サザンブロット法などにより、多型性の原因を検索した。その結果、制限酵素SacIによるRFLPで、CYP2A6cDNAをプローブにして、5つのタイプに分ける事が出来、そのうちのE型がPMと相関することが示唆された。E型は、6.4,4.5,2.6kbのフラグメントを欠損しているため、このフラグメントに相当する遺伝子をEMからクローニングし解析した。その結果、PMはCYP2A6を全欠損していることを明らかにした。そこで、CYP2A6の5′-および3′-非翻訳領域の塩基配列を解析し、欠損部位を同定した。さらに、PCR法での判定を可能にし、日本人132名について、全欠損者は4.5%であることを明らかにした。
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