研究概要 |
これまで培養法では作製が不可能であったバクテリア死菌-LPSによる劇症肝炎モデルをスフェロイド培養法を利用することで作製可能にした。さらに、スフェロイド培養法を用いた劇症肝炎モデルに関与する免疫担当細胞やサイトカイン、接着因子などを明らかにし、その詳細な発現機構の一部を免疫薬理学的に明らかにした。 即ち、バクテリア死菌とLPSとによる劇症肝炎モデルを温度感受性ポリマーを用いるラット肝細胞混合スフェロイド培養法により確立し、既に論文発表した。また、今年度では、スフェロイド形成の迅速化を図って、温度感受性ポリマーを用いることなく非実質細胞を含む混合肝細胞をそのまま回転培養することでスフェロイドを形成する方法を開発した。使用するバクテリア菌体には、Propionibacterium acnes(P.acnes)を用い、嫌気培養と殺菌・凍結乾燥法により必要量のバクテリア死菌を得た。また、P.acnes-LPSによる劇症肝炎は、肝臓マクロファージの2段階感作により誘発されると言われているので、本肝障害発現に関与する免疫担当細胞、サイトカインや接着因子を免疫化学的及び免疫組織学的に同定した結果、IL-1,TNF-α,IL-8などのサイトカインや接着因子LFA-1が本劇症肝炎の発症に関与していることを明らかにし、論文発表した。 さらに、肝炎自然発症ラットLECの肝細胞スフェロイドを温度感受性ポリマーを用いて作製し、銅異常蓄積機構及び肝炎発症に至る過程の一部をインビトロ実験系で解明し、論文発表した。
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