α_2-アドレナリン受容体(α_2AR)を強制的に発現させた細胞に、受容体キナーゼ(GRK)のアンチセンス鎖を発現させ、α_2発現しているがGRKを発現していない細胞株を樹立することを試みた。しかしながら、α_2を発現させた後、次のアンチセンス鎖のGRKを発現させるため薬剤による選択を行っている間に、α_2の発現レベルが急速に消失することが明らかとなった。また、細胞にもともと存在するGRKの発現レベルがそれ程高くないために、通常のウエスタンブロットではアンチセンスDNAを発現させた後の減少量(率)を定量的に評価することが困難であった。このためうさぎの抗血清で細胞よりえられた抽出液を免疫沈降し、マウス由来の抗体で検出することを計画し、マウスよりモノクローナル抗体を作製した。また、ウイルス由来のプロモーターは細胞内で不活化されやすいこと、血清中に存在する少量のカテコラミンがα_2を脱感作させているためにα_2量が減少する等の可能性を考え合わせ、無血清培地で増殖する細胞に哺乳動物のプロモーターを持つプラスミドを用いてトランスフェクションすることを試みようとしている。このために、α_2およびGRKを発現させるそれぞれのプラスミドに薬剤選択性を与える遺伝子および哺乳動物由来のプロモーターを持つベクターを新たに作製した。
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