コングルチニンはウシ血清中の、N-アセチルグルコサミンに特異的なC型動物レクチンである。本レクチンは分子内にコラーゲン様構造を含む特徴的なタンパク質であり、最近その生物活性が注目されている。本研究は、コングルチニン遺伝子の発現調節機構を解明することにより、その生物学的意義を明らかにしようとするものである。今回は、まず、コングルチニン遺伝子の5′-上流調節領域の構造を明らかにし、次に、レポーター遺伝子を用いて、この5′-上流域のプロモーター活性を測定し、転写調節部位の解析を行った。 我々がすでに明らかにしたコングルチニンのcDNA塩基配列に基づいて合成した特異的オリゴヌクレオチドプライマーを用い、ベクターライゲーションPCR法によるジーンウォーキング法により、コングルチニン遺伝子の5′-上流域の塩基配列を転写開始点より約700bp上流まで決定した。次に、この領域の5′-末端側から段階的に欠失させた変異体をPCR法および制限酵素消化により作製し、これらをルシフェラーゼ遺伝子をレポーター遺伝子とするプラスミドに組み込み、コンストラクトを作製した。これらのコンストラクトを培養肝細胞HepG2にトランスフェクトし、一過性に発現したルシフェラーゼの活性を測定することにより、コングルチニン5′-上流域断片のプロモーター活性を解析した。今回、全長を含め種々の長さ(-741bp〜-49bp)の13断片のプロモーター活性を測定したところ、転写開始点より約200bp上流近傍の近位プロモーター領域に転写を促進的に制御する配列が、また350bp〜200bp上流の間に転写を抑制的に制御している配列が存在することが明らかとなった。
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