ウシ血清中に存在し、N-アセチルグルコサミンに特異的なCa^<2+>依存性動物レクチンであり、分子内のコラーゲン様構造をもつコングルチニンの生物学的意義を遺伝子レベルで明らかにするために、本レクチンの遺伝子発現調節機構を解析した。 1)コングルチニンゲノム遺伝子の5'-上流調節領域の塩基配列の決定。 我々がすでに明らかにしているコングルチニンcDNAの構造に基づき合成したオリゴヌクレオチドプライマーを用い、PCR法によるジーンウォーキング法により、コングルチニン遺伝子の5'-上流域をクローニングし、その塩基配列を転写開始点より約700bp上流まで決定した。 2)レポーター遺伝子を用いた転写制御配列の解析。 コングルチニン遺伝子の5'-上流域全長(700bp)、その5'-末端側を段階的に欠失させた変異体、および部位特異的変異体を作成し、ルシフェラーゼレポータープラスミドに組み込んだ。これらのコンストラクトを培養肝細胞HepG2にトランスフェクトし、ルシフェラーゼ活性測定によりプロモーター活性を測定し、転写制御部位を解析した。その結果、転写開始点より200bp上流近辺に正の転写制御配列(シスエレメント)が存在し、これは転写開始点より158bp〜152bp上流に存在するAP-1配列と協調的に働いていることが明らかとなった。 3)ゲルシフトアッセイおよびフットプリント法による転写制御部位の解析。 HepG2細胞およびウシ肝細胞の核タンパク質抽出液を用いて、ゲルシフトアッセイを行い、制御部位を解析した。その結果、上記の-200bp近辺の正のシスエレメントおよびAP-1配列に結合する転写調節因子(トランス因子)が核タンパク質抽出液中に存在することを明らかにすることができた。次に、DNアーゼIフットプリント法により、核タンパク質中の正のトランス因子の結合部位が-180bp付近であることを確認することができた。
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