研究概要 |
1.セラミド分子種の定量法の開発---sphingosinのアミノ基に種々の脂肪酸がアミド結合したセラミド分子種を蛍光ラベルしHPLCで定量する方法の開発に着手した。sphingosineのN-heptadecanoyl体を化学合成し、さらにanthroylnitrileと反応させた。生成物を逆相HPLCで分析したところ、いくつかのピークが見られ、その内の一つは、目的物質であったが、他の妨害物質のピークを減少させることが次の課題であることがわかった。 2.セラミドの構造活性相関の解析---完全に対掌性を保ったtrans-型(天然型)及びcis-型のsphingosineを合成した。これらtrans、cis、及び三重結合を持つ反応中間体のN-hexanoyl化合物(C6-ceramide,C6-cis-ceramide,C6-triple-ceramide)についてそのapoptosis誘導活性をHL60細胞を用いて調べた。apoptosisを蛍光顕微鏡など三種類の方法を用いて評価した結果、apoptosis誘導活性はC6-triple-ceramide>C6-cis-ceramide>C6-ceramideの順であった。このことからceramideのtrans-configulationはapoptosis誘導活性発現のためには必ずしも必要とされないことがわかった。またtriple-bondをもつsphingosineのacetyl誘導体(C2-ceramide)はさらに活性が強く、これらtriple bondをもつ新規ceramide類縁物質が、sphingomyelin cycleに続くシグナル伝達経路の解析、さらには新規抗ガン物質として有用である可能性が示された。
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