研究概要 |
JE遺伝子はマクロファージ走化因子をコードし、各種の増殖因子で誘導される。Balb/3T3細胞では、ホルボールエステルTPA、TNFα、LPS、血清で強く誘導されるが、先ずこの誘導における活性酸素の関与をスカベンジャーの効果により検討した。JE mRNAレベルについては、TPAによる誘導はPDTCやTMTUなどのSH基を持つスカベンジャーが効果的に抑制したが、アスコルビン酸、BHA,フェリシアネートなどのOHラジカル消去剤は効果がなかった。他の誘導剤にはいずれのスカベンジャーも大きな影響を与えず、TPAによるJE遺伝子誘導に特定の活性酸素が関与すると考えられた。 次に、この誘導およびスカベンジャーの作用を感知する遺伝子上のシスエレメントの同定を行った。そのため、ラットJE遺伝子5'上流-2600塩基を含むDNA断片を、レポーターとしてのCAT遺伝子に導入したプラスミドを構築した。この遺伝子をBalb/3T3細胞に導入し、CAT活性により転写制御領域の検索を行った結果、-1500塩基付近に誘導およびスカベンジャー作用を感知するエレメントが存在することが判明した。この部分の塩基配列を解析した結果、NFκB結合配列が二カ所存在し、これがJE遺伝子のTPAによる誘導およびRDTCの阻害効果に関与するエレメントであると考えられた。この可能性をオリゴヌクレオチドを用いさらに明らかにしたい。
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